解決事例紹介~労働事件~
◆事案の概要◆
試用期間中の元従業員に対してした解雇の意思表示に対し、解雇無効を争われた事例
◆解決内容◆
解決金による和解
◆弁護士のコメント◆
相談者(企業)様から、元従業員にした解雇通知に関して、弁護士から内容証明が届いたというようなご相談がありました。
解雇理由を聴取した結果、弁護士としては、解雇理由としては少し不十分であるであると考え、解決金による解決を提案しました。
通常、試用期間であっても、「解雇する客観的に合理的な理由が存在し、社会通念上相当と認められる方法」(最判昭和48年12月12日、三菱樹脂事件)が必要であると解されています。そのため、解雇理由に疑義がある場合、労働審判や訴訟によって解決まで時間が長引いてしまい、その結果解雇が無効であると判断された場合にはそれまでに生じたであろう賃金相当額(いわゆるバックペイ)を支払う必要が生じるおそれがあります。
そこで、協議した結果、すでに解雇の意思表示をしてしまっていることや、当該従業員の引き続きの雇用は難しいというご要望を踏まえて、解決金(解雇の意思表示から、交渉終結時までの未払賃金を支払うという内容)による支払いを提案させていただき、当該解決金で穏便に解決をすることができました。
労働審判や訴訟によって高額なバックぺイが発生する危険を免れたことは経済的にみても合理的な判断であったと思います。
従業員の解雇に関するトラブルは、最悪労働審判や訴訟の結果次第では、損害賠償を含め膨大な金銭を支払う必要が出てくるおそれがあります。
そのため、解雇の判断は、慎重にかつ法律要件に適合する形で行う必要がありますので、解雇をすべきかどうか迷った段階で弁護士に一度ご相談ください。