解決事例紹介~刑事事件(薬物事件)~
事案の概要
コカインの所持の罪(麻薬及び向精神薬取締法違反)で逮捕・勾留・起訴、それに引き続き覚せい剤の使用(覚せい剤取締法違反)及びコカインの使用の罪で再逮捕、追起訴、その後訴因変更手続によって大麻の所持の罪(大麻取締法違反)が追加された事件です。
Aさんとしては、コカイン及び大麻については被疑事実を認めたものの、覚せい剤の使用については否認していました。
また、Aさんには身寄りがおらず、公判廷における情状証人の協力を求めることができないという状態にありました。
結果
・覚せい罪の使用
→不起訴
・コカインの所持・使用、大麻の所持
→実刑2年6月、執行猶予4年
弁護士のコメント
検察官からは、覚せい剤については、尿の鑑定結果などをもとにAさんに覚せい剤を使用する故意があると主張していましたが、弁護人としては、まず覚せい剤については、コカインを購入した際に不純物として混じっていたものを無意識的に摂取したものであり、故意はないと主張しました。
そのため、Aさんに対する取り調べでは、この点だけを供述してもらい、その他の質問については虚偽の自白を誘発するおそれがあることから、黙秘を指示しました。その結果、覚せい剤については不起訴処分を獲得することができました。
また、コカインの使用・所持及び大麻の所持については、Aさんは被疑事実を認めていたため、今回の反省を踏まえ、どうすれば今後断薬することができるかということをAさんと一緒に検討しました。
そこで、公判廷においては、Aさんの反省文を証拠として提出し、断薬の方法やプロセスについて詳細に主張し、裁判官を説得しました。
検察官は論告求刑において、実刑を主張していましたが、判決においては、「反省の態度が現れており、再犯防止の計画も具体性がある」などを理由に執行猶予を獲得することができました。
薬物事件は被害者がいない犯罪であるため、示談をすることができません。また、薬物は依存性が高く、再犯率も高いので、こういった再犯のおそれがないことを具体性を持たせて主張することが大切になってきます。