【コラム】オンラインカジノに手を出してしまったら

近年、オンラインカジノが身近な存在となり、スマートフォンやパソコンから簡単にアクセスできるようになっています。
また、SNSの普及やインフルエンサーが実際にオンラインカジノを利用しながらPRを行うなど、国内におけるオンラインカジノが合法であるかのように見受けられるケースも多々あります。
しかし、国内において、たとえサーバーが海外に置かれていたとしても、オンラインカジノを利用すると「単純賭博罪」や場合によっては「常習賭博罪」に該当します。
もし、オンラインカジノを利用してしまうとどのような責任が生じるのか、また、手を出してしまった場合どのような対策を行えばよいのか、解説します。

1. 刑法における賭博罪の規定

日本の刑法は、賭博行為を原則として禁止しています。

  • 刑法185条(単純賭博罪):50万円以下の罰金または科料に処されます。
  • 刑法186条(常習賭博罪):常習的に賭博をした場合には、さらに重い刑罰(3年以下の懲役(現在は「拘禁刑」といいます。)など)が科されます。

2. 刑事事件になるかどうか

実際に逮捕・起訴に至るかどうかは、捜査機関の判断に左右されますが、以下のような場合に刑事事件化する傾向があります。

  • 継続的・常習的にオンラインカジノを利用している場合
  • 多額の入出金記録が残っている場合
  • 他人を勧誘して利用させた場合

1回きりの利用であっても、その額が大きい場合などは事件化する可能性が高いといえます。
もっとも、
・口座に資金を入金しただけ
・利用登録をしただけ
という場合は、賭博行為は行っていないので、賭博罪には該当しません。なお、賭博罪には未遂罪の規定がないので、賭博未遂罪というものは成立しません。

3. 逮捕となった場合や有罪判決を受けた場合の影響

  • 前科がつく:罰金刑や懲役刑を受ければ、前科として記録され、就職・資格取得・社会生活に大きな支障をきたします。
  • 身柄拘束の可能性:捜査の過程で逮捕・勾留されれば、最大で20日以上にわたり身柄を拘束される場合があります(もっとも、賭博罪で逮捕されるケースはかなりレアケースですので、基本は在宅での捜査だと考えていただいて問題ありません。)。
  • 社会的信用の失墜:報道や周囲への伝播によって家庭・職場で重大な影響を受けることがあります。

4. オンラインカジノに手を出してしまったら

もしオンラインカジノに手を出してしまったら、できる限り早期に弁護士に相談することが重要です。

  • 自首の付き添い:利用行為を認め、捜査機関に出頭するお手伝いをします。また、その際に同行して付き添うことも可能です。
  • 取り調べ対応事・手続全般のサポート:取り調べにおける受け答えのアドバイス及びその練習、万が一逮捕されてしまった場合の身柄拘束からの解放、ご家族への連絡、起訴された場合の裁判対応など幅広く支援します。

賭博罪というのは被害者が存在しない類型なので「示談」ができません。
基本的には事件の内容(一度きりか常習か、少額か多額かなど)で起訴するかどうか判断されますが、本人の反省の態度なども考慮されます。
自首をすることは、反省の態度を行動で示すという意味では大きな意味を持ちます。
法律上の自首とは、捜査機関に発覚されていない事件について自ら犯罪事実を告げることをいいますので、すでに捜査が始まっている事件について自首は成立しません。もっとも、オンラインカジノは利用件数がとても多く、捜査機関としても捜査の対象としているのはごく一部だと思われますので、法律上の自首が成立する可能性はとても高いといえます。
軽微な事案であれば、自首をすることで不起訴処分を獲得する可能性がかなり高まります。オンラインカジノに手を出してしまったことを罪悪感を感じながら生活するのはとても辛いと思います。ご自身の過去を清算するという意味でも自首はぜひ検討していただきたい事項であります。


まとめ

オンラインカジノはSNSや広告などから一見すると「合法」、「グレーゾーン」と思われがちですが、日本では立派な「賭博罪」となる犯罪行為です。
継続的な利用や多額の利用は特に摘発リスクが高く、前科がつくことは人生に大きな影響を及ぼします。万一、オンラインカジノに手を出してしまった場合は早急に弁護士へご相談ください。